4-5月のTARO NASUは、ジョージェ・オズボルトの個展を開催いたします。
ジョージェ・オズボルト | Djordje Ozbolt
1967年、ユーゴスラビア生まれ。現在はロンドンを拠点に制作活動。
University of Belgrade(セルビア)にて建築を学んだ後、NYに渡り、さらにロンドンに移住。2000年にSlade School of Fine Art(ロンドン)にて学士号取得、2006年 Royal Academy of Art (ロンドン)にて修士号取得。
ジョージェ・オズボルトは、世界各地の様々な芸術文化や伝統、宗教といったハイカルチャーからローカルチャーまで引用しながらも、それぞれの文化的背景から敢えて切り離すことで作品世界へと昇華させる。
既存の文化価値に囚われない引用や擬態を用い、オズボルトは歴史や文化的地図を遊戯的に自由に破壊してきた。
ウィットに富んだ表現で東西の文化の衝突や、国際化が進む現代の社会問題を扱う彼の作品群は、多文化社会の果てにある、先の見えない我々の未来を予言するイコンのようでもある。
今回の個展ではオズボルトの故郷セルビアで制作された、ノーム(地の精)を模した小人たちの立体と新作のペインティング、および日本の根付に着想を得た彫刻作品を展示する。
移民問題が取り沙汰されるセルビア。ユーゴスラビア解体を経験し、故国喪失者であるオズボルトが制作したセルビアの妖精たちは年初のイギリスでの展示から更にまた遠く、日本へと侵攻する。
一方で、手のひらの小宇宙とも評される、日本の根付をオズボルトは巨大な彫刻作品へと変形させ、鮮やかな色合いで表現した。実際に日本の骨董市などで流通している根付から、1メートル近い大きな彫刻へと鋳造して制作された新作だ。
江戸期から現在に至るまで日本が発展させてきた造形を、作家ならではの視点で再構築させたこの新シリーズは、文化の空間軸を扱ったノームと対照に、文化の時間軸と戯れるオズボルトの試みとも言えよう。
国境を超えて侵攻するノームたちと、時代を超えて展示空間へと姿を表す根付彫刻。 時間と空間、二つの軸がクロスオーバーするオズボルトの新作をご高覧ください。