10-11月のTARO NASUはニューヨーク在住のアーティスト、田島美加の個展を開催します。
田島美加 | Mika Tajima
1975年 ロサンゼルス生まれ
現在はニューヨークにて制作活動中
彫刻、建築、音楽、パフォーマンスなど多様な要素を組み合わせた作品で知られる。
日本では2013年に「六本木クロッシング2013 : アウト・オブ・ダウト」展に参加、モダニズム建築の巨匠コルビジェの作品を自身の作品と組み合わせたインスタレーション等で高い評価を得る。
その他の主要な参加展覧会に、2014年「Negative Entropy」(Eleven Rivington、New York)、2011年「Pineapples and Pyramids」(Aspen Museum of Art、Aspen)、「After the Martini Shot」(Seattle Art Museum、Seattle) 、2010年「The Double 」(Bass Museum, Miami) 、2009年「Today is Not a Dress Rehearsal」 with Charles Atlas and New Humans(San Francisco Museum of Modern Art 、San Francisco) など。
2014年ART BASEL 香港にてBMW賞ファイナリスト。
田島美加は、人々の生活を密かに包囲し、その思考にまで浸透するモダニズム建築に焦点をあて、人間と、人間が自ら作り出した人工物との関係を考察する。
たとえば彼女にとって作品制作のきっかけとなった、アメリカの企業ハーマン・ミラー社のオフィスモジュールは田島の作品世界において、象徴的な存在といえよう。同社のオフィスパーテーションや可動壁の形状は、効率化、モジュール化、規格化といった、モダニズムの根本にある思想を体現する。それらのいわゆる「インテリア」は、そのなかで長時間を過ごす人間の意識に働きかけ、その行動を制御・支配しうる存在として、繰り返し田島の作品において言及されている。
日本では初個展となる本展覧会では、上記の視点をふまえ、照明型の立体作品や、オフィス環境から着想を得た絵画「Furniture Art」シリーズ、さらに、繊維工場で発生する機械作業音をデジタルデータに変換し、そのデータをパターン化してジャガード織へと変容させた「Negative Entropy」シリーズなどを展示する。
身の回りの「自然」はいつしか失われ、もはや音ですら、自然のそれではなく機械音が日常となっている現代社会のなかで、人間は意識、無意識的に自らの手で生み出したものに支配されることを選択し、生きていくのだろうか?
消費社会の魅惑に満ちつつ華やかな色彩の作品群を通じて、田島は人間とテクノロジーの共存のあり方を問いかける。