TARO NASUでは10月19日より、ジョナサン・モンク & サルヴォ「Salvo Stage Sets」を開催いたします。
サルヴァトーレ・マンジオーネは「サルヴォ」として知られ、1960年代初期から画家として活動していた。サルヴォは日々の生計を立てるために、安価なポートレイト画、風景画、有名画家による作品の贋作を販売していたという。
モンクはそのサルヴォを題材にした作品シリーズ「Salvo Trees」を2016年より発表してきた。本シリーズにおいて、モンクはサルヴォの風景画の画像をA4の印刷紙や雑誌の広告、キャンヴァスの上にプリントアウトし、アクリルやグワッシュ、水彩を乗せて、元の構図に属する木だけを残して背景を塗りつぶしている。従来「引用 appropriation」をその制作手法の一つとしてきたモンクは、ここでは反復の概念に焦点を当て、サルヴォの芸術的アプローチに新たな視点を提供するとともに、モンク自身のアプローチをも反映させている。
本展では、モンクによる「Salvo Trees」シリーズの最新作、著名なミュージシャンのイメージを用いた「Staged Salvo」12点に加え、1980−2000年頃のサルヴォの作品5点を展示する。
ジョナサン・モンク | Jonathan Monk
1969年、レスター生まれ。現在はベルリンにて制作活動。
近年の主な個展に「S L」Mahler & LeWitt Residency、Torre Bonomo、 Festival dei Due Mondi、 Spoleto、イタリア(2024)、「Metallic Sunsets」Dvir Gallery、Paris、フランス(2023)、「Exhibit Model Six – The Tel Aviv Version」CCA Tel Aviv、イスラエル(2019)、「Lenticular LeWitt」TARO NASU、東京(2018)、「Exhibit Model One」Kunsthaus Baselland、Mutten、スイス(2016)、「Anything by the Smiths」CAN Neuchâtel,、スイス(2015)、IMMA Irish Museum of Modern Art, Dublin、アイルランド(2014)、「COLOURS SHAPES WORDS (pink, blue, square, circle) 」CAC Malaga、スペイン(2013)など。
サルヴォ | Salvo
1947年、レオンフォルテに生まれ、2015年、トリノにて死去。
サルヴォことサルバトーレ・マンジョーネは、シチリアで幼少期を過ごし、1956年に家族と共にトリノに移った。当初、人物画や風景画を制作したが、のちにアルテ・ポーヴェラ運動に関わるようになった。コンセプチュアル・アートの影響を受けたサルヴォは、アーティストの役割を探求し、様々な人物を装って演出を施した一連のセルフポートレートを制作した。1970年代からは具象画に焦点を移し、心象風景や時間の経過を強調し、鮮やかな自然や都市を描いた特徴的な作品群を生み出した。
ドクメンタ5(1972)や第41回ヴェネツィア・ビエンナーレ(1981)などの国際展に多数参加したほか、2007年には故郷トリノのGalleria Civica d’Arte Moderna e Contemporaneaで回顧展を開催した。
近年はサルヴォへの注目がいっそう高まっており、ローマ現代アート美術館での回顧展(2021)をはじめ、欧米各地の美術館やギャラリーで彼の作品が紹介されている。