"Paris Bar" 2016
"The Tragic Tale Of The Boy That Went To Sea” 2015
Photo by Keizo Kioku

4-5月のTARO NASUはダグラス・ゴードン&ジョナサン・モンク展 「PARIS BAR」を開催いたします。
本展はゴードンとモンクの共作であるネオン作品を中心に構成されます。

ダグラス・ゴードン | Douglas Gordon
1966年、イギリス生まれ。グラスゴーおよびベルリンを拠点に制作活動。 1996年 ターナー賞、1997年 ヴェネツィア・ビエンナーレ Premio 2000、1998年にはヒューゴ・ボス賞を受賞。 近年の主な展覧会に2015年「After the After: Douglas Gordon and Tobias Rehberger」(Museu d’Art Contemporani d’ Eivissa、イビザ、スペイン)、 2014年 「The only way out is only way in : Douglas Gordon」(オーストラリア近代美術センター、メルボルン)、2013年「I am also…」(テルアビブ美術館、テルアビブ)、2012年「Douglas Gordon : Left is Right and Right is Wong…」 (Institute of Modern Art 、ブリスベン)など、世界各国での展覧会歴多数。

ジョナサン・モンク|Jonathan Monk
1969年レスター(イギリス)生まれ。現在はベルリンにて制作活動。 1988年レスター・ポリテクニック(現デュ・モントフォート大学)卒業、1991年グラスゴー美術大学卒業。 主な展覧会に2015年「All the possible combinations of twelve lights lighting (one at a time)」(Museo d’Arte Contemporanea di Rom、ローマ)、「Anything by the Smiths」(Centre d’art Neucha^tel, ヌーシャテル、スイス)、2014年「Jonathan Monk」(Irish Museum of Modern Art、ダブリン)、2013年「COLOURS SHAPES WORDS (pink, blue, square, circle)」(Centro de Arte Contempora´neo de Malaga、マラガ、スペイン)、2008年「Time Between Spaces」(パリ市立近代美術館、パリ)など。

展覧会タイトルとなっているPARIS BARは、ベルリン市内に実在するレストランの名称である。
キッペンバーガーの作品を数多く展示していることで知られるこのレストランで、2015年、ゴードンとモンクは一緒に昼食をとった。本展で展示されるネオン作品は、「Badoit(水)」や「Escargots de Bourgogne(ブルゴーニュ風エスカルゴ)」といった具合に、2人が注文した飲み物や料理の名前をネオンに変えたもの。
各ネオンは、注文した料理が運ばれてきた順に、そしてテーブルに運ばれてきてから下げられるまでの間の時間だけ点灯する仕組みになっている。そのため全ての料理=作品を鑑賞するためには、必然的に2人の食事のペースと同じだけの時間を展示室内で過ごさねばならない。
つまり、ネオンを通じて、鑑賞者はアーティストの昼食を追体験することになる。
ベルリンにある「パリ」という名のレストランでの昼食を、東京のギャラリーにて体験する。「時間」と「空間」を超えたつながりがここに出現するのである。

「時間」と「空間」が交差する作品は、ゴードンとモンクの過去作にも見受けられる。
モンクの作品シリーズ「The Same Time in a Different Place」はそのひとつである。過去の展覧会のために作成されたDMと、そのDMが発行された当時の自ら(あるいは家族)の写真を組み合わせた本シリーズにおいて、モンクは同じ時代の異なる空間をつなげる試みを見せている。
ゴードンもまた、その代表作品として、ヒッチコックの映画を24時間に引き伸ばして上映した映像作品「24 Hours Psycho」を持つことで知られる。

今回2人が共作のテーマに選んだのは、食事という人間の五感すべてを刺激する行為であった。暗闇に光るネオンが鑑賞者の感覚をどう刺激するか、ぜひ展示空間で体感してほしい。