3-4月のTARO NASUはスイス人アーティスト、ペーター・フィッシュリ ダヴィッド・ヴァイスの展覧会を行います。
TARO NASUでは初となる本個展では写真作品と立体作品を展示いたします。
ペーター・フィッシュリ ダヴィッド・ヴァイス | Peter Fischli David Weiss
フィッシュリは1952年スイス生まれ。ヴァイスは同じくスイスにて1946年に生まれ、2012年に没する。
2003年のヴェネチア・ビエンナーレで金獅子賞を受賞し、テート・モダン、パリ市立近代美術館、ソフィア王妃芸術センター(マドリッド)など世界各国の美術館で展覧会を行う。2016年にはグッゲンハイム美術館(ニューヨーク)で回顧展が開催された。
既存のイメージや常識を覆す作品を制作してきたペーター・フィッシュリとダヴィッド・ヴァイス。彼らは鋭い洞察力で、平穏で何気ない日常に満ちている、意外性や矛盾に焦点を当てる。
見えないものを見せるというよりも、私たちが見ていると思っていた世界に異なった視点をもたらす彼らの作品は、皮肉とユーモアを織り交ぜながら人間社会の本質を浮き彫りにする。
今回のメインの出品作である写真作品「フォトグラフィア」は、ポストカードサイズの写真に猫や人、機関車や乗り物、自然や宇宙などが写し出されている。これらのイメージは、遊園地の乗り物などの外壁にカラフルに描かれた図柄を撮影したもの。クローズアップやモノクロ、露出を変えることで既存のイメージと異なる世界を、そして夢や恐怖といった人の内面を映し出す作品だ。
ユングなどに代表されるように、精神世界研究の歴史が長いスイス人らしいテーマを扱い、商業施設、娯楽施設で私たちが囲まれている喜劇的光景を、一気に陰惨、鬱屈として得体の知れないトラウマティックな光景へと変えてしまうような価値転換が行われている。
ニューヨークのグッゲンハイム美術館で行われた2016年の回顧展が記憶に新しく、評価が高まるフィッシュリ ヴァイス。
ありふれた世界の本質を、身近な素材とキッチュな仕掛けによって軽やかに捉えた彼らの作品は、今も私たちを新しい価値観へと誘う。